新型コロナワクチンについて

今回お伝えしたいこと

  • 現在接種可能なワクチンは2回接種が必要で、Pfizer社であれば1回目接種日と3週間後の予定を空けておく必要がある。
  • 有効性は接種した約95%確認されている。
  • 副反応は1回目よりも2回目が多く、発熱・頭痛や全身倦怠感が接種翌日に多い。

はじめに

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言発出下でご不安になっている方も多いかと思います。今月から新型コロナワクチン(=新型コロナウイルス感染症に対するワクチンのこと)接種が開始となっており、当院に通院されている患者様からも多数お問い合わせを頂きますので、現時点で公表されている内容に基づいて新型コロナワクチンについて整理することが出来ればと考えています。

新型コロナワクチンとは

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染するリスクを減らすためのワクチンです。コロナワクチンナビには次のように記載されています。

新型コロナワクチンの特徴

新型コロナワクチンには、重症化を防いだり、発熱やせきなどの症状が出ること(発症)を防ぐ効果があります。接種を受けていただくことで、重症者や死亡者が減ることが期待されています。
一方で、接種後の副反応として、接種部位の痛み、頭痛・倦怠感、筋肉痛などが報告されているほか、ごくまれに、接種後のアナフィラキシー(急性のアレルギー)が報告されています。
新型コロナワクチンの薬事承認にあたって、有効性や安全性を、臨床試験や科学的知見に基づいて確認しています。

コロナワクチンナビ

現在日本で使用が可能なものを含めて海外では以下のようなものが開発されています(開発状況についてより引用)。

ではワクチンにはどのような種類があるのでしょうか?国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ」より引用します(一部太字表記を追加しています)。

日本で使用中または使用が検討されている新型コロナワクチンの種類、組成、ベクターについて
一般的にワクチンは、病原体の抗原や毒素を不活化した不活化ワクチンと病原体を何らかの方法で弱毒化した弱毒生ワクチンに分類されていました。しかしながら今回、新型コロナウイルス( 以下、SARS-CoV-2 )に対して使用されているワクチンは、革新的な技術を利用した新しい方法で開発されたワクチンです。国内で使用されているPfizer/BioNTech や現在製造販売承認申請中の Moderna/NIAID のワクチンは、ウイルスの遺伝子配列を基にメッセンジャーRNA( 以下、mRNA )を合成し、合成した mRNA を脂質ナノ粒子に包含して注射し、ウイルス抗原を生体内で発現させて免疫を付与する方法がとられています。また、Oxford University/AstraZeneca によって開発、申請されているワクチンは、アデノウイルスをベクター( 遺伝子の運び屋 ) として用いています。安全性の高いアデノウイルスの遺伝子の一部を SARSCoV-2 に組換えて作成し、この組換えウイルスに感染させることによって SARS-CoV2 の抗原を発現させて、免疫を付与する機構を用いたワクチンです。
COVID-19 に対して日本で使用中または使用が検討されているワクチンを示します( 表 1 )。

国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ」

SARS-CoV-2 感染歴のある者に対する予防接種
海外では、主に Pfizer/BioNTech のワクチンの接種を受けた医療従事者の中で、SARS-CoV-2 感染歴のある者に対する 1 回接種後の免疫原性に関して複数の報告があります。イスラエル、米国、英国からの報告によると、それぞれ対象者数は限定的ではあるものの、PCR により確定された SARS-CoV-2 感染歴のある者、および SARS-CoV-2 の既感染が示唆された(=接種時点で SARS-CoV-2 に対する抗体を有していた)人は、ワクチン 1 回接種後(検体採取時期:接種後 7~25 日の範囲)のスパイクタンパクに対する抗体価と中和抗体価が、感染歴のない人の 1 回接種後と比べて高く、感染歴のない人の 2 回接種後と近い程度まで上昇していたことが示されました。感染歴のある者に対する 2 回接種後の抗体価は、1 回接種後の抗体価と有意差は見られませんでした。イタリアからの報告では、対象者 6 人の少数の検討でありますが、1 回目接種の 9 か月前に SARS-CoV-2 感染歴があった者に対して 2 回接種を実施したとき、1 回接種後 7 日には抗体価がプラトーに達していたことが示唆されました。また、英国からの報告では、液性免疫に加え細胞性免疫の検討もなされており、SARS-CoV-2 感染歴のある人では 1 回接種後 3 週間の時点で T 細胞応答が確認されました。
接種後の症状(副反応)については、感染歴のある人は感染歴のない人よりも 1 回接種後の症状が多く認められました(36.8% vs 25.0%,p=0.03)。一方、2 回接種後の症状出現頻度には有意差はありませんでした(51.3% vs 58.7%,p=0.26)。現状、米国の予防接種に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices :ACIP)は、感染歴の有無によるワクチン接種の安全性には特段の懸念はないとしています。

国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ」

mRNAやウイルスベクターなどの複数の種類のワクチンがあるようですが、現状どのワクチンを選択しても①筋肉注射、②2回接種が必要、という点が共通しているということになります。また新型コロナウイルスに感染した人でもワクチンを接種することに安全性の懸念はないということです。

現時点で多く使用されているワクチンはPfizer社のものになるので、そちらについて確認してみましょう(ファイザー社の新型コロナワクチンについてより引用)。

~引用はじめ~

有効性について

 新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。
 ワクチンを受けた人が受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないということが分かっています。(発症予防効果は約95%と報告されています。)
 なお、本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています。現時点では感染予防効果は明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります。
 臨床試験の概要については、「さらに詳しい情報」をご覧ください。

ファイザー社の新型コロナワクチンについて

安全性について

 主な副反応は、頭痛、関節や筋肉の痛み、注射した部分の痛み、疲労、寒気、発熱等があります。
 また、まれに起こる重大な副反応として、ショックやアナフィラキシーがあります。 
 なお、本ワクチンは、新しい種類のワクチンのため、これまでに明らかになっていない症状が出る可能性があります。接種後に気になる症状を認めた場合は、接種医あるいはかかりつけ医に相談しましょう。
 万が一、ワクチンの接種によって健康被害が生じた場合には、国による予防接種健康被害救済制度がありますので、お住まいの各自治体にご相談ください。

ファイザー社の新型コロナワクチンについて

予防接種を受けることができない人、注意が必要な人

 下記にあてはまる方は、本ワクチンの接種ができない、または接種に注意が必要です。
 当てはまるかどうかや、ワクチンを受けて良いか、ご不明な方は、その病気を診てもらっている主治医にご相談ください。
 また、当てはまると思われる方は、必ず接種前の診察時に医師へ伝えてください。

ファイザー社の新型コロナワクチンについて

受けることができない人

・明らかに発熱している人(※1)
・重い急性疾患にかかっている人
・本ワクチンの成分に対し重度の過敏症(※2)の既往歴のある人
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。
(※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。

ファイザー社の新型コロナワクチンについて

注意が必要な人

・抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人
妊娠中、又は妊娠している可能性がある人、授乳されている人は、接種前の診察時に必ず医師へ伝えてください。
※本ワクチンの成分
▷有効成分
・トジナメラン(ヒトの細胞膜に結合する働きを持つスパイクタンパク質の全長体をコードするmRNA
▷添加物
・ALC-0315:[(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル)
・ALC-0159:2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド
・DSPC:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
・コレステロール
・塩化カリウム
・リン酸二水素カリウム
・塩化ナトリウム
・リン酸水素ナトリウム二水和物
・精製白糖

ファイザー社の新型コロナワクチンについて

ワクチンには2回接種後1週間経過後には発症予防効果が95%程度確認されているとのことで、有効性が示されているとのことです。副反応にはインフルエンザの予防接種と同じようなものが出るようです。

新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査」をもとに、接種後の副反応がどのようなものかを見ていきたいと思います。

まずは接種後の発熱についてです。

1回目よりも2回目のワクチン接種の時の方が発熱の副反応の頻度は高いようです。高齢者よりも若年者の方が発熱の頻度が高い傾向が認められます。

頭痛、全身倦怠感も発熱と同じく、高齢者よりも若年者の方が副反応の頻度が高い傾向が認められます。

あと、最後になりますが新型コロナワクチンは強制ではない点にもご注意ください。

接種を受ける際の同意

 新型コロナワクチンの接種は、国民の皆さまに受けていただくようお勧めしていますが、接種を受けることは強制ではありません。しっかり情報提供を行ったうえで、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。
 予防接種を受ける方には、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただいています。受ける方の同意なく、接種が行われることはありません。
 職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないようお願いいたします。
 ⇒職場におけるいじめ・嫌がらせなどに関する相談窓口はこちら
 ⇒人権相談に関する窓口はこちら

接種についてのお知らせ

高い有効性が示されているワクチンですが、接種された方の中の3割程度の方は発熱などの副反応がでることも予想されます。主治医の先生と相談のうえ、御自身の意思によって受けてくだされば幸いです。
場合によっては家族や職場の方が一度に打つのではなく、少しずらして打つなどの工夫をされると良いのかもしれません。

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