「GLP-1ダイエット」で体調不良?保険診療で安全に治療するという選択肢もあります

いつもいんべクリニックをご利用いただき、誠にありがとうございます。

今回は少し刺激的なタイトルですが、近年ニュースなどで取り上げられる機会も増えている「GLP-1ダイエット」に関して、安全な診療と保険適用の可能性について解説いたします。

出典:TOKYO MX報道局(YouTubeより)(配信期間が終了した場合には閲覧ができない場合があります。予めご了承ください。)

自由診療でGLP-1製剤を使用して体調を崩したり、ネット通販のような形で提供された結果、副作用時に相談先がわからないという事例を私たちも耳にする機会が増えてきています。

GLP-1受容体作動薬とは?

最近話題の「痩せる注射」「GLP-1ダイエット」。しかし、このGLP-1受容体作動薬は、もともと2型糖尿病や肥満症治療のために開発された医療用医薬品であり、劇薬・処方箋医薬品です。

保険診療と自由診療の違い

項目保険診療自由診療
診察・検査費保険適用(通常3割負担)全額自己負担
薬剤費保険適用(通常3割負担)月1〜3万円以上(一番低い用量の場合)
使用の条件2型糖尿病・肥満症医師の裁量による使用(適応外含む)

例えば、チルゼパチド(マンジャロ®)の添付文書では、BMIが23未満の患者での安全性・有効性は検討されていないと明記されています。適切な診療には経験豊富な医師の判断が必要です。私たちのように日本糖尿病学会認定糖尿病専門医はリラグルチド、エキセナチド、リキシセナチド、セマグルチド、チルゼパチドなど短時間作用型GLP-1受容体作動薬や長時間作用型GLP-1受容体作動薬などあらゆるGLP-1受容体作動薬について臨床経験が豊富であるため、使用が望ましい対象者や中止すべきタイミングについて非専門医よりも適切にアドバイスすることが出来ます。

当院の方針:まずは保険診療の範囲で評価します

当院では自由診療は行っておらず、保険診療のみの対応となっております。「痩せたい」「GLP-1を使いたい」といった動機でも構いません。まずは医学的に治療の適応があるかどうか、下記のような評価を実施します。

診療の流れ

  1. 問診・身体計測(身長・体重・BMI)
  2. 血液検査(糖代謝・脂質・肝機能・内分泌など)
  3. 肥満関連疾患の有無を確認
  4. 保険適用内で可能な治療を検討(GLP-1製剤含む)

肥満とその診断基準について

  • BMI25以上:日本肥満学会では「肥満」と定義され、保険診療の検討対象になります。特に生活習慣改善がポイントになります。
  • BMI25未満:保険診療での肥満治療は行えませんのでご了承ください。
  • アジア人は肥満関連疾患を早期に発症しやすいため、BMIが高くなくても注意が必要です。
  • BMI35以上(高度肥満):耐糖能異常・2型糖尿病の合併リスクが非常に高く、当院で初めて糖尿病と診断されるケースも多くあります。

2型糖尿病が見つかった場合

GLP-1製剤(例:セマグルチド・チルゼパチド等)は2型糖尿病の治療薬として保険適用があります。血糖コントロールの改善と並行して、体重減少効果も期待できることから、当院では安全かつ有効な治療として採用しています。

体重増加の背景に内分泌疾患が隠れていることも

甲状腺機能低下症や副腎疾患など、体重に影響するホルモン異常も存在します。むくみ・倦怠感・寒がり・月経不順などの症状がある方は、保険診療での内分泌検査も必要になってきます。

自由診療クリニックとの違いと注意点

  • オンライン診療だけでは血液検査ができず、肥満症の正確な評価が困難な場合があります。
  • 内分泌や糖代謝の異常を除外せずに処方されると、副作用や治療の遅れにつながる可能性も。

まずは専門内科で全身状態を評価し、その結果に応じて治療方針を選ぶことをおすすめします。

まとめ

  • GLP-1製剤は2型糖尿病や肥満症の治療薬です。肥満でない方には不向きなお薬です。
  • 診断と評価に基づけば、保険診療の範囲で使用できる可能性があります
  • 副作用を防ぎ、安全に治療を継続するためには医療機関での適切な診断が不可欠です。

受診をご希望の方へ

「痩せたい」という気持ちも、立派なきっかけです。その背景にある病気を見逃さず、保険診療を活用した安全で継続的な治療につなげましょう。

📞 ご予約は こちら から
💬 インターネット予約も受付中です!RESERVA予約システムから予約する

AI相談窓口